仏教では重要な教えの中に「一切皆苦」があります。あらゆるものは苦しみであるという教えですが、「苦」という意味を正確に知る必要があります。この漢訳語の苦の原語は、サンスクリット語ではドゥッカ(duhkha)といい、その原義は「不安定な、困難な、望ましくない」といったほどの意味です。
ドゥッカ(duhkha)の意味をよく表すものとして、仏教には「三苦」という教えがあります。三苦とは、苦苦・壊苦・行苦です。
苦苦
「苦苦」とは、苦しみそのものであること。
苦嫌なこと、会いたくないことに直面する苦しみです。
壊苦
「壊苦」とは、楽が変化して壊れる・滅する時の苦しみであること。
楽しかったものがくずれる苦ですが、「苦苦」のように、いきなり苦しいわけではありません。仏教で重要な教え「無常」が関係しています。
最初に出会ったときは、確かに楽しかったのです。しかし楽であるものの先には、それにとらわれると苦しみがあることを意味しています。
これを苦楽表裏といいます。
これをお釈迦様は、
「苦しみの新しい間を楽しみといい、
楽しみの古くなったのを苦しみという」
と教えられています。
行苦
・「行苦」とは、無常をなげく苦です。
行とは、サンスクリット語でサンスカーラ(saṃskāra)であり、因縁によって起こる現象ですがわかりやすくいえば、一切の存在です。
四苦八苦の中の五蘊盛苦の中の行蘊のことです。
人間生存の無常という事実の中に感ずる苦であるから、生存苦、生きること自身が苦であることを示しました。したがって、苦苦も壊苦も、この行苦を根本として起ってくるといえます。
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